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青学テニス部の中では、ストリートテニス場の少年、は有名人になっていた。
「ほんと、ほんと。絶対勝てないから。」
「へぇ…」
「…みんな、
疑ってるだろ?
」
不二、菊丸以外の部室に居たテニス部員(レギュラー陣)はうなずいた。
「も〜…じゃあ、一回会ってみるといいよ。強くて歯が立たないから!」
菊丸の声が響いた。
「次の休日いつだっけか?」
「興味あるねぇ…」
「越前君も行く?」
「……まあ、菊丸先輩がぼろ負けだったって言う相手に興味はあるけど…」
「よし、決定!!」
「でも、次の休みって随分後………」
「…あ、でも、午前練習の日が一日あるよ。その日の午後にすればいいじゃないか。」
こうして、青学レギュラー陣のストリートテニス場練習(
別名に会いに行こう
)計画がたった。
その日も、はいつものテニスコートにいた。
本来なら今日は氷帝テニス部の練習があるのだが、正式に部員登録してないし…と、言って、午前中の練習を少し見学しただけで跡部の目を盗み帰ってきてしまったのだ。
跡部邸にそのまま帰ると怪しまれるため、直接テニス場に来た。
そのためは氷帝の制服姿だ。
普段使っているテニスコートがあいていたので、その横のベンチに腰掛けたが、制服のまま、着替えも持っていないのでテニスする格好ではなかった。
とりあえず、ラケットを取り出してガットの張りなどを確かめるが、今日は日差しも強く、制服姿でテニスをするには酷な状況であった。
「…困りましたね…やはり、着替えを持って跡部邸を出るべきでした…」
のほほんと、冷たいドリンクを飲みながらはつぶやいた。
そうしたら、ざわざわとやってくる軍団が。
「おや、あれは……」
遠目に見えるのは、何度もこのテニス場に足を運んでいる青学の少年、不二周助。
同じジャージを着ているところをみると、青学テニス部レギュラー陣のようだ。
見えた数数えただけでも、5人はいる。
「やあ、。」
不二が軽く手を上げて挨拶した。
「あっれ〜…、今日は制服じゃん。………
しかも氷帝だし。
」
あはは、と、は苦笑した。
やっぱり制服で来るべきではなかったなと、少しだけ後悔したのだがそんなことは表情に表さない。
「なんだ、氷帝の人なのか。それじゃテニスができるのも納得するぜ。」
「…?」
「でも、、テニス部じゃないんだよね。」
「ええ。」
にこにこ。
にこにこにこにこ。
笑顔が絶えない。
青学レギュラー陣、一瞬みな思考がとまる。
それから、意識が戻ったやつから自己紹介をしていく。…一人は、怪しいノートにの情報をメモしていた……
「あ、えっと…俺、桃城武。」
「……海堂薫っす。」
「乾貞治だ。君、華奢な体つきをしているけど、テニスできるのかい?」
「はじめまして、僕……」
言いかけたところで、の周りにわらわらと集まっている青学レギュラー陣を押しのけて越前リョーマが顔を出した。
そして、の顔を見たところで一言。
「…あ。」
「なんだ、越前、知り合いか?」
「………先輩たち、を知らないんですか?」
ん〜…これは逃げたほうがよさそうな雰囲気かもしれないな…っと考え始める。
「世界のテニス選手権を総なめにした、14歳の天才テニスプレーヤ、を?!確か今は…あまりのマスコミの数に嫌気がさしてどこかの国に旅行中って……」
「……ああ、聞いたことがある。世界テニス選手権にジュニアとして参加したのだが、あまりの強さに審査員が異例の判断を下し一般の部にも参戦。そこで優勝した天才少年……」
なるほどね、と、乾がノートにメモを取る。
「…でも、そんなニュース聞かなかったよね?そんなことがあったなら日本だって大騒ぎになるはずだけど…?」
「確かそのときは…日本の中でテニスよりももっと重要なニュースをしていたんで話題にならなかったはず……」
それからみんな納得したようにうなずいた。
「それじゃ、不二先輩とかが勝てないはずですよ。世界トップの人じゃあ……」
それから一斉にを見て、一番最初に口を開いたのは菊丸だった。
「あれ、でも、今日は
氷帝の制服
だよね。氷帝に通ってるの?」
「あ〜…えっと……」
「そういえば、いつもは制服なんか着てこないね。まさか氷帝に通ってるとは思わなかったよ。」
続いて、不二。
「えっと……その……」
説明しようにもなかなかいい言葉が見つからない。
せっかくマスコミの目が嫌で、ほかの人に注目されるのが嫌で、ちょうどみんなが自分の名前を知らない日本にやってきたというのに。
これじゃあ、あんまり変わらないな…と、ぼそっとつぶやくだった。
「おい、こら、。」
青学レギュラー陣を押し分けて、氷帝の制服が現れた。
ん?と見上げればそれはのステイ先の息子、跡部ではないか。
「お前、午後の練習サボってこんなとこ来てんじゃねーよ。」
「……あ、跡部景吾。」
「午後の練習って、やっぱりテニス部なのかにゃ?」
「…別にサボってはいませんよ?僕、正式にテニス部に部員登録したわけじゃありませんから。」
「だからって勝手に抜け出すなよ。おかげでこっちがどれだけ迷惑したと思ってやがる。」
「…さあ。」
それから跡部は、の手を乱暴に握って、テニス場の外に連れ出そうとした。
「いったいどこへ?」
「部活に決まってんだろ。まだ終わってないっての。」
ずるずると引きずられるようにして歩くの姿を呆然と見つめていたのは青学レギュラー陣のみんなだった。
「それじゃあ、また今度、テニスしましょうね〜…」
と、笑顔で手を振るに、とりあえず手を振り返す彼ら。
「あ〜あ、行っちゃった。」
「どうする?」
「せっかく来たんだし、コートもあいてるし、試合やろーぜ。おしっ、越前、勝負だ!」
「…俺は桃先輩
じゃなくて
、と戦いたかったですね……ぼろ負けだろうけど。」
「なに〜、この俺を差し置いてあんな
妙に笑顔の似合う美少年
と試合したいだと?!」
「…そりゃ、そうでしょ?世界のだし…」
「こんにゃろ〜…絶対勝ってやるからな!!」
「ははは、二人ともほどほどにね。」
「…せっかく来てくれたのに、青学の方々に申し訳ないことをしてしまいましたよ。」
「お前が部活を抜け出したのが悪い!」
「……でもねぇ…」
「…
外出禁止にするぞ
、こら。」
「
それは困る。
」
「大体、うちの部活の練習に参加しないくせに、あんなとこで青学のやつらとテニスしなくていいだろうが。」
「…気分ですよ。氷帝ってお金持ちの人ばっかりが来るから、気がめいるんですよね。」
「…お前も十分金持ちの家系だろうが。」
「日本の金持ちとは違いますよ。」
「……とにかく、ちゃんと練習に参加しろっての。」
「本当に、跡部景吾は人使いが荒いですねぇ…」
「逃げ出したのはどっちだ、こら。」
「…逃げ出してませんよ。ただ、
抜け出した
だけで。」
氷帝に帰るまでの車の中で、何度跡部がため息をついたことだっただろうか。
結局跡部は、天才の気まぐれに振り回されるのであった。
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青学レギュラー陣と戦わせてみたかったけど…
いつの間にか出たがりの跡部が出てきてしまいました(爆)
…それにしちゃあ似てない(汗)
の設定も、少しは見えてきたかなぁ……
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