この間、義母へのプレゼントを買うために街に出て。

 よくわからない少年と出会った。

 千石清純君…だったかな。まぶしい笑顔の少年だった。

 彼は、僕がプレゼントを選ぶのを手伝ってくれた。その御礼に、僕はプリクラなるものを彼と一緒に撮った。

















































 
 それはなんら問題ないはずなんだよね。

 うん。

 だけど、そのときに撮ったやつを机の上にぽんと置いたまま、お風呂に行ってしまったのがまずかった。



















 お風呂から戻ってきたら、部屋に跡部景吾がいた。















 普段、勝手に部屋に入って勝手にくつろいで、そしてまた勝手に出て行く人だから、あまり気にしないのですが。

 今日も、見た目は普段と変わらず、僕のベッドの上に腰掛けていました。

 彼もすでにお風呂に入り終えていて、まだ髪の毛が乾いていないようでした。



 「あれ、来てたんですか?」


 「ああ。」



 あれ、いつもより返事がそっけないな。

 声から察すると、彼はものすごく不機嫌そうだった。

 ああ、僕は何か彼を怒らすようなことをしたでしょうか?…実は、僕は跡部景吾が怒るのがあんまり好きじゃありません。

 怒鳴られると、耳が痛いですからね。彼、結構暴言を容赦なく言いますからね。

 精神的にもきついです……



 「…怒ってます?」



 でも、聞かずにはいられなかった。

 だって、僕の部屋で不機嫌で仏頂面のままいるなんて……僕のほうがこの場の雰囲気が気まずくてその場に留まりたくありませんよ。

 だから、声をかけてしまったのです。



 「……、これは一体何だ?」



 怖い声。

 乱暴に目の前に突きつけられたのは、つい先日撮ったプリクラなる物。

 ……これが一体どうしたのでしょう?別に怒られるようなこと、してませんよね?それに御礼だったわけですし。



 「これがどうかしました?」



 ニコニコ笑顔でそういったら、跡部景吾が思いっきりため息をついて、鋭い目で僕をにらみつけた。



 「どこで、と、こんなものを撮って来たんだ、こら。


 「駅前のゲームセンターで、千石清純と名乗る方と。」



 真顔でそう答えたら、また、盛大なため息が聞こえました。あんまりため息ばかりついていると、幸せが逃げてしまうとよく言うのにね。



 「…一体誰が、千石清純なんかと関わっていいって言った?それに、この落書きの内容は何なんだ?」



 …しばらく僕は考え込み、それから笑顔で答えました。



 「もしかして、妬いてるんですか、跡部景吾。」









 ぶたれました。











 もちろん軽くですが、頭をはたかれました。ああ、痛い。何てことでしょう。




 「誰が嫉妬なんかするかよ。そうじゃない。どうしてお前は他校生と接触を持とうとするんだ。

 という自分の存在がどれほど大きいか分かってるのか?!」


 「…ああ、このときはどうしても逃げられない状況にあったんですよ。それに、義母へのプレゼントを選ぶのを手伝ってくれた方ですし。

 パフェもおごってもらっちゃいましたしね。……僕、何かまずいことしました?」


 「まずすぎる。千石清純なんかと関わって……また、他校にお前の存在が知れ渡るだろ。

 そうしたら、この前みたいにうちの学校に忍び込んでくるような不届き者がまた現れるかもしれない。

 そういう危険性をまったく認識せずに勝手な行動をとるな。」


 「まあまあ。いいじゃないですか、プリクラの一枚や二枚。そんなに大げさでもないですよ。」




 ニコニコ笑って、彼の手からプリクラを受け取ると、それを机の中にしまった。

 跡部景吾は部活のことになるとなぜか神経質だからやりきれない。

 確かに僕だって、日本に名が知れ渡り、また、報道陣がいっぱい…っていうのはいやですけどね。

 もう少し、のびのび生活したいですよ。

 跡部景吾が僕のことをすごくかくまってくれているのはよくわかるのですが……



 「優しい方でしたよ?」


 「…初デートって書いてあったな。それに写ってたあのポーズは何だ。もう少し他人には注意しろよ。」


 「ん〜…」


 「こら、ちゃんときいてんのかよ。」


 「聞いてますよ。」


 ニコニコと笑って答えた。

 怒っているときの彼は正直好きじゃない。でも、僕のことを心配してくれているから仕方ありませんね。

 とりあえず、軽くあしらっておきます。


 「…じゃ、今度、跡部景吾、一緒に撮りに行きましょうか?


 跡部景吾の顔が一瞬真っ赤になったように思えた。


 「……覚えとけよ。」


 なんていう台詞ですか、今のは。

 覚えておけなんて、どこかの負け犬が使うような台詞じゃないですか。

 ああ、顔を真っ赤にしちゃって。


 そんなに僕って魅力的ですかね?

 あまり感じないのですが。



 でも、いいかもしれませんね。

 跡部景吾と二人でプリクラを撮るのも。

 千石清純君と一緒のときは少し戸惑いましたが、ま、跡部景吾ならいいような気がします。



 「ほら、いつまで怒ってるんです?」


 なぜか僕の部屋にある、跡部家としては小さめの、それでも一般家庭からすればとても大きい冷蔵庫から飲み物を取り出して渡します。

 彼の額にぴとっとつけたら、驚いて顔を上げました。

 や、久しぶりのその顔。


 跡部景吾はむっつりしているのは似合いませんね。


 「それ飲んで頭冷やしてくださいよ。」


 僕も自分の分に口を付ける。

 あ、炭酸でした。

 すーっと広がる炭酸ガスの泡が、僕ののどを潤す。

 それは少し刺激の強いもの。


 跡部景吾がそれを一気に飲んでいるのに思わず笑いました。


 「じゃ、今度の休みにでも一緒に行きましょうか。」




















































 跡部景吾が、無理に炭酸を飲みながら、うなずいている気がした。




















































 楽しいね。こういうのも。



 彼は怒ると怖いけれど、たまにはからかうのもいいかもしれない。

 跡部景吾が顔を真っ赤にするなんて、滅多にないことだと思うし、ああ、写真に収めておけばよかったな…




















































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 千石清純との話の後日談です!!
 拓様、リクエストありがとうございました。

 こんな感じでいかがでしょうか?(汗)
 跡部は少なからず嫉妬をしていると思うのは管理人だけ…?(笑)

 リクエストありがとうございました!!


























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