パーティー。


 「今夜は立食パーティーだからな。」


 って言われた。

 立食パーティーというものが僕にはよくわからなかったけど、勝手に参加することになっているらしかった。

 とりあえず、パーティー会場にふさわしい格好に着替えて、跡部景吾とともに会場に向かった。




 …彼が、何で僕と一緒にパーティーに参加するのか、わかった気がした。

 本来これは、跡部景吾が参加するパーティーじゃないらしい。

 僕らの父親か、それ以上の歳の人たちばかりが集まっている。ギラギラに着飾ったおばさま方にはちょっとひく。

 どうやら、彼の父親の代理で跡部景吾が参加することになったらしいけど…


 こんな、おじ様、おば様世代のパーティーで、僕らの姿は異様に目立つ。人目を惹く。

 こんな中に一人で乗り組んでいったら気疲れするのは目に見えている。

 ……つまりは、僕をはけ口にしたわけだ。

 僕と一緒に参加することで、跡部景吾のストレスは少し解消することになる。


 …パーティー…と聞いて、舞踏会かそれとも祝賀パーティーか…と、軽く考えていた自分が馬鹿だったと…改めて実感した。






 「まだ、ふくれっつらなのかよ。」


 「そりゃ…だって、僕らにはなんら関係のないパーティーでしょう?どこぞの政治家の引退パーティーなんて。」


 「まあな。もう国を動かす力を持っているわけじゃないしな。集まっているのだってそんなに力のあるやつらでもない。」


 日本では20歳になるまでお酒が飲めない。

 僕たちはソフトドリンクを片手に、優雅に話しかけてくるおじ様、おば様を相手に話をするわけだ。


 相手は僕たちのことを子ども扱いする。

 かといって余計に反抗すると立場が悪くなる。

 だから、聞き流さなくてはならない。……辛いところだ。



 パーティーだったら祖国のパーティーが懐かしいな……




 「テラスに出て風に当たってきますね。」


 「誘拐されんなよ?


 「…大丈夫ですよ。」



 跡部景吾はまだあの事件のことを気にしていた。

 僕だって、今この場で誘拐されちゃかなわないけれど、どうしたってここは暑い。

 風に当たらないと、体がめいりそうだった。

























 ただの引退パーティーだって言うのに、洋館を丸ごと貸しきっただけあってテラスはなかなかのつくりだった。

 外には数人の人しかいなくて、ちょうどよかった。

 心地よい風。


 「………」


 ………

 うん、風は心地よい。


 「………」


 ……

 でもさ、妙な視線を感じるんだけど…?


 とりあえず、振り返ってみた。


 ……ちょっと陽気な少年。


 この場にはあんまり似合わない服装で。


 「……君さぁ…なんでそんな綺麗なのにさ、そんな服着てんのさ。」


 この人に言われたくないですね……

 僕、ちゃんとパーティー用の服で着てますし、周りみたって大体同じような服装で……


 「…僕に何か用ですか?」


 「!!」


 あ、いや…声かけただけでそんなに驚かなくたって……

 なんとなく、いやな雰囲気だったから跡部景吾のところに戻ろうかなぁって思った。


 「…男の子だったんだ…?あ、ごめん。髪短い女の子かと思ってた。」


 ははっ、って笑ってた。


 「俺、立海大付属中の切原赤也。」


 「………」


 そんな、にっこり笑われてもねぇ…

 立海大付属中っていう言葉自体よくわからないし……どこの中学ですか?


 「…君は?」


 なんか…一緒にいると調子の狂う……


 こんなパーティーで僕と同じくらいの歳の人がいることが珍しいのかもしれないけど…なんか、そうじゃなくてさ…

 ペースが乱れる。

 っていう感じかな。


 「あ、ごめんなさい。僕、です。」


 僕に頭を下げる習慣はない。

 握手を求める習慣ならあるけどね。

 だから、手を差し出した。

 そしたら、驚かれた。でも、笑ってた。


 「…細い指だなぁ……」


 テニスやるような手じゃないな…って、言ってたのが聞こえた。


 「君さー、中学生?だったら立海来ない?」


 勧誘…?


 「このパーティーつまんなくない?」


 まあ、確かに。


 「俺さー、親の代理なんだけどさ、このまま抜け出しちゃおうかなぁなんて、考えてたんだよねー…」


 僕、何でこの人の話を聞いているんでしょうか?

 何か聞いたわけじゃないのに、よくしゃべる人ですね…


 「そしたら目の前に美人がいるじゃん。折角声かけたんだけど、男の子だったし。」


 ……僕のことでしょうか。


 「…やっぱ、俺、抜け出す…」


 じゃあな、って

 勝手に僕のことを女だと勘違いして、勝手にぺらぺらしゃべってた少年は、

 テラスから飛び降りた。

 ……なかなか無謀なことを…

 そんなに高くないけどさ。

 不思議な人だった。


 ひらひらと僕に手を振るから、思わず手を振りかえしてしまったけど。

 ん〜…あの人は誰だったんでしょう。











 「おい、こっちこいよ。俺一人じゃ対応しきれない。」


 「あ、はい。」


 跡部景吾の声がしたから、僕はまた会場内に足を踏み入れる。

 さっきと同じかそれ以上に会場内は盛り上がっていて暑い。




 「ねえ、跡部景吾…立海大付属中って何ですか?


 「あ?何ですかって…中学だよ。」


 「へぇ…」


 「立海がどうかしたのか?」


 「…わかめみたいな髪の男の子に会いました。」


 「わかめ?」



 「ええと…勝手にしゃべって勝手に消えていきました。」


 「わかんねーよ。名前、聞かなかったのか?」


 「……聞いた気がしますが……忘れました。」


 ため息つかれた。

 だって…印象に残ってるといったら…髪型か、しゃべり方くらい……



















































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 家に帰っておやつのトマトを食べながら名前を思い出すのでしょう(爆)
 ん〜…あんまり似てない(汗)
 苦手だ…赤也……








































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