……ここはどこでしょう……?







 なんとなく天気がよかったので跡部景吾に帰りたいとか言って帰してもらったのはよかったのですが…

 ……ここはどこでしょう?

 ぶらぶら歩いていたらここがどこだかわからなくなってしまいました。




 どうしようもないのでその辺にあった公園のブランコに腰掛けました。

 ん〜…どうしましょう。

 時刻は午後4時。

 跡部景吾はまだ部活でしょうから電話することはできません。

 残りの携帯番号は海外のものですから…日本の地理に詳しいとは思えません…


 苦笑して…折りたたみ式の携帯電話だったのでふたを開けたり閉じたりパカパカやってました。

 こういう時って時間がゆっくりなんだなぁと感じます。

 携帯電話の時計はぜんぜん進まなくて…

 少なくとも跡部景吾に電話ができるのは後2時間後なのに…それまで僕はどうしていればいいのでしょう?




















































 「…おい。

























































 何もすることがなく、時間をもてあましていたに声をかける人物がいた。

 に言わせればすごくぶっきらぼうな日本語だったらしい。

 顔を上げればそこにはバンダナを巻いた少年が。体つきのがっしりとした、どこかで見たことのある少年だった。


 「……?」


 「お前…氷帝の………だろ?」


 「あ、ええ。えっと…あなたは確か…青学の……?」


 「海堂だ。」


 「ああ、どうもこんにちは。」


 にこにこと挨拶をするに、海堂の顔が少し赤くなった。


 「…お前、何でここにいるんだ?」


 「?」


 「……だからっ……ここ、氷帝からもあのテニス場からもぜんぜん違う場所……」


 は微笑んで答えた。


 「迷ったみたいです。


 海堂の盛大なため息が聞こえた。

 笑顔で迷った…と、言っていいのだろうか。


 今日は一年と三年がそろって校外学習に出かけたため、部活は自主練ということになり、早めに切り上げたので海堂は自主トレをしていたのだ。

 走ってきたら、どこかで見たことのある少年が一人、公園のブランコに座っていたものだからつい声をかけてしまったのだが……

 まさか…

 迷子になった…と、その口から聞くとは思わなかった。


 「………」


 「?」


 「…家、どこだよ?」


 ぶっきらぼうにそう聞いた。

 はのほほんとしていたが、家…と聞かれて少し考えてから、跡部景吾の家、と答えた。


 …ぜんぜん方向が違うじゃないか……

 心の中で海堂はため息をついた。


 「…下校途中か?」


 「そうだったはず……なんとなく天気がいいからぶらぶらいろんなところを見て歩いてたら、いつの間にかこんなところに……」


 あほだ。

 天然だ。

 絶対そうだ。

 テニスがすごくできるやつって聞いていたけど…

 今の状況から考えて、こいつは天ではなく天だ…


 「…?」


 「……っ……こいよ。」


 そういってを公園の外に連れ出した。

 は首をかしげていたけれど、海堂について歩く。


 「どこ行くんですか?」


 にこにこと。

 今顔を見たら絶対自分の顔が赤くなるのがわかっていたから、海堂はのほうを見ないでそっけなく答えた。


 「送ってってやるよ………」



 「………」



 「……………………



 「ご親切にどうもありがとうございます。」


 パッと顔が輝いたように見えた。

 やっぱり困っていたんじゃねーか…

 下校途中に迷子になる天然なやつだが、どこか憎めない…と、考えながら早足で跡部邸に向かう。




















































 「あ、この道知ってます。」 



 しばらく歩いたらがそういった。


 「あと少しで跡部の家だ。」


 「本当にどうもありがとうございます。ここからは自分で帰れますよ。」


 「………」


 少し心配だ。


 「ここをまっすぐ行ってに曲がれば……」


 やっぱり……


 「だ。」


 「…あれ?


 「いい、家までちゃんと送り届ける。」


 心配だ。

 少し早足になりながら跡部景吾の家までを送っていった。



















































 ちょうど跡部邸の前に来たとき、の持っていた携帯電話が鳴った。

 夕焼けがきれいな時刻だった。



 『!お前、今どこにいるんだ?!』


 「あ、跡部景吾……どこって、あなたのお屋敷の前ですよ?」


 会話が聞こえてくる。


 …こんなやつと住んでたら毎日苦労するだろうな…と、少しだけ跡部に同情した海堂であった。


 「どうもありがとうございました。」


 そういわれて顔が赤くなったので、あわててそっぽを向いた。


 「別にいい……今度からは迷わないように気をつけろ…」


 海堂はトレーニングの再開。

 走り出した。

 は海堂の姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。













 「こら。」


 ごつん


 頭をたたかれた。


 「…跡部景吾…痛いじゃないですか……」


 「お前、確か学校をでたのは3時半だったよなぁ…こんな時間までどこに行ってたんだ?」


 「……迷ってました。


 「…………………………」


 「?」


 「……………………」 


 跡部がため息をついた。


 「馬鹿だろ、お前。」


 「……」


 「どこに下校途中に迷子になるやつがいるんだよ。」


 「……だって……」


 「だって…じゃねぇ!家にいないから何があったのかと思ってたってーのに…」


 「別に何も心配なことはされてない…」


 「そういう問題じゃねーだろ。」


 「……」


 「外出禁止な。」


 「え?!」



 「方向音痴ならなおさらだ。」


 「……そんなぁ…お天気がいい日に外に出られないなんて……」


 「俺様と一緒にいればいいだろうが。部活だってちゃんとでろよ。」


 「正式登録してないし…」


 「あ?」


 「…なんでもないです。」




















































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 海堂との出会い(爆)
 この主人公、世話が焼けると思うんだ(爆)
 今日の跡部さんはちょっとご立腹でしたね。
 あ〜……外出禁止になっちゃった…(爆)






















































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