ホグワーツ入学当初は、毎日が驚きの連続だったけれど、最近はそうでもない。

 毎日違った事件が起きるわけでもないし、至って平凡な日のほうが多い。



















































 最近は、僕が目覚めるとの水晶玉を覗き込む姿が一番最初に目に入る。

 その姿を、低血圧な僕は十分くらいボーっと眺めている。


 「…、おはよ。」


 「……ん〜…おはよ……」


 まだ完全に目覚めたわけじゃないから頭がボーっとしてる。

 はいつもそんな僕の姿を見てわらう。


 「相変わらず、朝に弱いんだねぇ…」


 なんて。

 の足元に寝そべっているにまで笑われているようで…でも、朝に弱いことは事実だから仕方がない。


 そんな僕のために、は毎朝何か飲み物を入れてくれる。

 夏は冷たい水であったり、甘いものであったりするけれど、寒くなってくると決まってココアを入れてくれる。

 僕は毎日、が入れたココアを飲んで目覚めるのだ。



 「……今日の授業は…確か、午前中だけだったよな?」


 「うん、そうだよ。確かドラコから図書室に来ないかって誘われてたよね。」


 「…どうせ、一緒に宿題をする羽目になるだろう?」


 「いいじゃないか。彼だって成績はいいし、話をしていてもすぐに理解してくれるから何も心配することはないよ。」


 「…ああ。」



 それからのそのそと着替えを取り出して、着替え始める。

 たいがいは僕が起きるころにはもうローブに着替え終わっていてすぐにでも朝食にいける格好になっている。





















































 午前中の授業はなかなか面白いものばかりだった。

 ついこの間、図書室で借りた本の中に変身術の本があったので、変身術の授業のときにそれを試してみた。

 が教科書に変身して、僕が羊皮紙に変身した。


 あの厳格なマクゴガナル教授は僕たちがいないことを見て、スリザリンから減点しようとしたので、あわててもとの姿に戻って、言った。


 「先生、僕たちここにいます。」


 先生は机の上にあった羊皮紙と教科書がいきなり人の姿に戻ったものだからさぞかし驚いた顔をしていた。

 それは、普段滅多に見ることのできない顔で少し得した気分になった。


 「……変身術の技量はすばらしい。……ですが、次に同じことをしたら減点しますからね。……スリザリンに二点加点。」


 なんだかんだいって、教授は僕たちに点数をくれた。

 後でドラコがどうやったんだ、とか聞いてきたけど、秘密にしておいた。

























 図書室での約束は午後四時からだったので、その時間まで僕たちは暇だった。

 は図書室で何冊か本を借りるとどこかに行ってしまった。

 僕は行く当てもないので、なんとなく図書室で本を読んでいた。


























 「…ねぇ、いないみたいだよ?」


 「おかしいわねぇ…」


 「あの子に聞いてみない?のルームメイトでしょ、確か。」


 私があんまり好きじゃない子。

 スリザリン生はみんな好きになれないんだけど、それにしたっていやな子。

 その態度といい、言葉遣いといい。

 自分以外の生徒をなめているような口調。……すごくいや。


 「…ハーマイオニー、聞いてみてよ。」


 「いやよ、ハリーが行けばいいじゃない。」


 「……じゃ、ロン、言って。


 ずずい、とロンを彼のほうに押しやった。

 ロンはすごいおびえた表情で、あのっ…… と、話しかけた。

 でも、あの子は私たちをチラッと見ただけで、すぐに読んでいた本に視線を戻した。話しかけているのにそういう態度はないんじゃなくて?


 「あのさ…を見なかった?」


 勇気を振り絞ってロンが言ったけど、無視された。

 やっぱりロンじゃだめか、ってハリーがつぶやいていた。


 「知ってるなら、教えてほしいんだけど。僕たちに用事があるんだ。」


 「………」


 まるで、うるさいなぁとか言うような表情で私たちを見るの。その目が嫌いだった。

 グリフィンドールの女の子たちは、誰にでも優しいや、といつも一緒にいるこの少年がかっこいいというけれど…

 少し見た目がよくても、性格が悪くちゃ最低だと思う。



 「ちょっと!さっきから聞いてるんだから返事くらいしたらどうなのよ!」



 なんとなく頭にきて怒鳴ってしまった。

 ささやき声が聞こえていた図書室が一瞬にして静まり返ってしまって、少し気まずかった。


 …でも、返事をしてくれるどころか、私には目もくれなかった。

 いすに座って本を読み続ける……すごく、むかつく態度。


 なんなの、あの子。


 そう思っていたら、本と羊皮紙を手にしたマルフォイがやってきた。

 いやなときにいやなやつが二人。

 気分は最悪だった。


 「おや、ハリー・ポッター……一体に何のようなんだい?まあ、は君たちみたいな人と付き合うような人間じゃないけどね。」


 鼻で笑われた。


 「…ところではどこだい?後五分ほどで時間になるのだが。」


 「……探してくるよ。」


 私たちが何か言っても何も答えないのに、マルフォイが何か言えば本を閉じて立ち上がるのね。

 ほんと、最低な人。






















 本を閉じて立ち上がって、図書室を後にした。そんな僕の後ろをグリフィンドール生がついてきたけれど口を利くのもいやだったから放っておいた。

 の居場所はわかっていた。

 …おそらく、中庭だろう。

 今日は日差しが心地よいので、と共にのんびりと日向ぼっこをしながら本でも読んでいるんじゃないだろうか。

 きっと、僕のニトも一緒にいるだろうな。



 予想通り、中庭にはがいた。

 大木の下でに寄りかかって寝ていた。

 手には読みかけの分厚い本。の体の横にも、すでに読み終えたのか、それともこれから読むのか…分厚い本が数冊置かれている。


 僕の足音を聞いてが顔を上げた。

 続いて…


 「…あれ…、どうしてここにいるの?さっき中庭に誘ったときは断ってたのに……」


 眠そうな目をこすりながら起き上がる。

 着崩れたローブを調えて、本を抱える


 「ドラコとの約束の時間が過ぎているんだが…一体何時からここで寝ていたんだ?」


 「さあ。何時からだろうねぇ……なんとなく、日差しが心地よかったものだから。」


 …時々、のマイペースさに呆れる。

 いまだにの上で寝続けているニトを抱くと、に早く来いと合図した。

 は僕の後ろについてきていたグリフィンドール生となにやら会話をしていたが、僕の視線に気づくと彼らに手を振って僕のほうに駆け寄ってきた。


 「…あんなやつらに話しかけなくてもいいのに。」


 「やだなあ、は。また不機嫌になっちゃって。別にに迷惑かけてないよ?」


 「迷惑とかそういう問題じゃないだろう?君の人格が疑われるぞ?」


 「そうかなぁ……?」


 「…僕は時々、本当にはスリザリンなんだろうかと思ってしまうよ。」


 「そう?」





 …いや、やはりはスリザリン生だよ…

 僕は時々、の笑みに恐怖を覚えることがある。さすが、スリザリン生。















































 就寝時間になると、僕たちはそれぞれのペットをブラッシングする。

 今日はもニトもお風呂できれいに体を洗ったので、タオルで水気をとりながらブラッシングだ。


 「はい、、お疲れ様。」


 「いいぞ、ニト。」


 「…ねえ、。眠い……」


 「寝ればいいじゃないか。」


 「……そうだねぇ……」


 は毎日夜になるとすごく疲れて見える。

 前に聞いたら、魔力の関係でしょうがないんだ…とか、笑って言っていた気がする。

 今だって、ほら。

 さっきまで、ドラコと一緒に勉強しているときは元気だったのに…もう僕の肩に寄りかかって寝る体制に入ってる。


 「早くベッドに入ったら?」


 「…うん……」


 あ、こりゃだめだ。

 僕が朝に弱いなら、は夜に弱い。

 朝は僕がにお世話になるけれど、夜は僕がをお世話しなくちゃならない。


 「ほら、寝るぞ。」


 ずるずるとすでに寝ているをベッドまで引きずっていく。その先はのペットのがやるから僕は必要ない。

 まだ、と遊びたげなニトをベッドに連れて行って、電気を消すとの寝息が聞こえてくる。

 これが、普段の生活。






















 ホグワーツにいたって、いつも事件が起こるわけじゃない。

 僕たちはお互いに助け合いながら、なんとなくホグワーツの一日を過ごしてる。







 なかなかいいルームメイトだ。





















































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 リクエストより、ホグワーツでの日常(爆)
 日常なのか?とか思わないように(爆)
 とりあえず、朝に強いと、夜に弱いが書きたかった。
 しっかりしてるところもあるけど、の前では少し甘えたがる…そんなやつです(爆)
 リクエストくださったかた、ありがとうございました!






































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