ハリーから、手紙が届いた。

 今夜トロフィー室でドラコと魔法使いの決闘をするのだそうだ。

 ……本当にドラコがその場に行くとは思えないけれど、ハリーたちはドラコになぜ来なかったんだい?って言われないように行くんだろうなって思った。

 ハリーのふくろう、ヘドウィグにクッキーを一枚やると、気をつけて、と返事をした手紙を持たせる。


 それからもうひとつ。

 母上から手紙と水晶玉が届いた。

 丸くて大きい、新しい水晶玉。

 軽く杖でたたいたら何か浮かび上がってきた。


 「……今夜は大変なことになりそうだ。」


 思わずつぶやいてしまった。

 水晶玉に映し出されたのは、正直者という意味を表す星。そしてその影に嘘つきを意味する星。

 僕だって星見の見習いだから…この星が何を意味するのかくらいはわかる。

 具体的な時間とかはまだよくわからないのだけど…

 でもなんとなく、今夜はハリーたちが危ない気がした。






































 十一時半ごろ。

 もうもニトも寝ている時間に、がゆっくりと起き上がった。

 俺も一緒になっておきた。


 「…さ、、いこうか。今度はネビルのときみたいに後悔したくないんだ。」


 たちを起こさないように静かに、でもすばやくと俺は寮を出た。

 談話室を抜けて、曲がり角を曲がって、階段を上がって……


 「…、どこに出かけるの?」


 …この前であった肖像画の娘だった。


 「やあ。トロフィー室に行きたいんだ。今日は妙な胸騒ぎがするからね。」


 「そう…でももう遅いわ。教師に見つかったら怒られるわよ。」


 「そうだね。」


 「……いいわ。教師に見つからないようにして、トロフィー室まで案内してあげる。」


 「ありがとう。」


 やさしい肖像画の言葉に甘えて、俺たちは教師に見つからないようにして、トロフィー室へつくことができた。


 まだ、誰もきていなかった。


 「…やっぱりね……さすが、スリザリン寮のドラコだ。嘘つきを意味する星…か。」


 それから数分たって、ハリーたちが中に入ってきた。

 がその場にいるのを観て心底驚いていた。












 「…どうしてがいるの?」



 最初に口を開いたのはロンだった。


 「もしかして、決闘相手が…じゃないよね?」


 は笑って違うよ、と答えていた。ただ、その後真剣な目でその場にいた四人を見つめた。


 「…君たちは本当に正直だね。さすが、グリフィンドール寮だ。真夜中のトロフィー室に寮を抜け出してやってくるんだもの。


 ………


 「ドラコはこないよ。賢い彼のことだ、この場に君たちが来ることをフィルチに報告しているはずだよ。真夜中に寮を抜け出す算段をしている人がいる…ってね。」


 「僕たち、はめられたってこと?!


 笑顔ではうなずいた。

 …確かに、グリフィンドール寮のやつらは正直すぎるかもしれない。

 マルフォイは、彼らが寮を抜け出さなかった、と聞けば、次の日に怖気づいたんだ、と大声で言うだろうし、こうやって来たということは、すでに何らかの形で作戦を練ってある。それがフィルチであったりするんだけれども。


 「じゃあ、は、私たちにそれを知らせるためにわざわざ寮を抜け出してきたの?」


 「まあ、そんなところかな……ほら、だれか来たよ。」


 隣の部屋から聞こえる物音と、足音。そして管理人フィルチの声。

 ハリーがすばやく全員についてこい、と合図した。以外のみんなの顔は青ざめていたけれど、は予想していたことだったらしく笑顔だった。








 途中で、鎧を倒してしまいすさまじい音を立ててしまったが、どうにか俺たちはフィルチを撒くことができた。

 たどり着いたのは、妖精の魔法の教室近く。

 ハリーたちは小声でささやきあっていたがは上を見上げていた。

 俺も、何がいるのか気になって見上げた。



 ………血にまみれた鎧を着てる…………



 「やあ、血みどろ男爵殿、こんばんは。」


 ネビルが驚いて声を上げそうになったのを、ハリーとが同時に笑顔で制した。


 「…、こんな夜中に何をしている?」


 「フィルチと追いかけっこを……」


 血みどろ男爵の顔が苦虫を噛み潰したようになった。



 (血みどろ男爵と平気で会話してるよ。)


 (それより、早くグリフィンドール寮に戻らなくちゃ。)


 ささやき声が聞こえていた。


 「…ね、教師に見つからないように寮まで案内してくれないかな?」


 「……の頼みなら仕方ないな。」


 …了承するのか…

 そりゃ普段からと一緒に寮を抜け出して血みどろ男爵を初め、肖像画の美しい娘たちと会話を楽しんでいるだけど。

 血みどろ男爵が見た目よりも優しいってことを再確認させられたよ。


 「行こう。」


 誰も来ないことを確認してハリーを先頭にグリフィンドール寮に向かってみんなが進み始めた……

 が、

 すぐに近くの教室からピーブスが飛び出してきた。


 「真夜中にふらふらしているのかい?一年生ちゃん。ちっちっちっ、悪い子、悪い子、つかまるぞ。」


 はやし立てる声。

 いやな声。

 ぐるぐるぐるぐる俺ののどが鳴った。不満が表に表れてしまった。


 「……あ、ち、血みどろ男爵……」


 幸い、の隣にいた血みどろ男爵に恐れをなしたピーブスは俺たちを通してくれたけれど、俺たちが通るとすぐに大声でフィルチを呼びやがった。

 まったくいけ好かないやつだ。

 とりあえず走って、ハーマイオニーが魔法で鍵を開けた教室の中に入った。






 ……なんか、いやなにおいがするなぁ……

 嗅覚が優れているからかもしれないけれど、鼻を突くようなにおい。

 動物のにおい。


 「…、できるだけ、ドアの傍に行って。ここは…」


 も気づいたみたい。

 それから、ハリーとほかのやつらも気づいた。

 教室に入ってきたわけじゃなくて、四階の禁じられた廊下に入ってしまったってこと。

 頭が三つの大きな犬。

 俺たちを襲ってくる。

 扉を開けて……一斉に駆け出した。

 運よくフィルチの姿はなくて…たどり着いた先はグリフィンドール寮だった。
















 「それじゃ、僕は自分の寮に帰るからね。」


 みんなに笑顔で手を振って(なぜかだけは服が乱れていなかった)は血みどろ男爵と俺を連れて寮に戻っていった。

 のこりのやつらは必死になって寮に入っていった。


 よかったなぁ…見つからなくて……






 「さ、これでいいだろう。これからは無茶なことはあまりしないほうが身のためだ。」


 ふてくされて血みどろ男爵がに言った。


 「ごめんなさい。でも、少し気にかかったんだ。彼らのことが。」


 「…………」


 「それじゃ、おやすみなさい。どうもありがとうございました。」


 うむ、と、血みどろ男爵が返事をしてどこかへすーっと消えていった。

 は微笑むと合言葉を唱えて部屋に入っていった。























 その後で、散々にどやされたのだけど。






















 「ごめんってば、。」


 「…本当に、は。」


 「…そんなに怒らないでよ。」


 「危険な目にあったんじゃないか!グリフィンドール生が寮を抜け出して減点されたとしても僕らにはなんら関係のないことなんだよ。


 「…でもねぇ…」


 「もういいよ。早く寝よう。」


 「ごめんね、起こしちゃって。」


 「いいから。」


 「はいはい。それじゃ、お休み。」





































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 真夜中のお散歩(爆)ちょっと今回は長いですね。
 はネビルのときみたいに後悔したくないから、わざわざ寮を抜け出したんですよ。
 でもなんか…ギャグになりきらない、シリアスになりきらない話だなぁ……(泣)











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