『夢見し時は今何処。今宵のときは何をすべきか。時を動かすものに目をむけて……』










 母上がくれた手紙の内容に頭を悩ませていた。

 …別に意味がわからないわけじゃない。むしろ、真意がつかめてしまうから…怖い。

 星見見習いの僕と違って、星見を職として扱っている母上の予言は当たる。

 いくら未来は変えることができるといわれても、それは予言の対象者が自ら行動を起こしたときだけだ。

 ……それに、変えることのできない予言もある。

 ホグワーツに…何かが起こる。

 いやな予感が当たらないことを祈るばかりだった。


































 「夢見し時は今何処。今宵のときは何をすべきか。時を動かすものに目をむけて……か…」


 が珍しく悩んでいた。

 俺が足元に擦り寄っても、ため息をつくばかり。すでに宿題も終えていて何も心配することなんかないって思ったのに。

 そろそろ一緒に遊んでくれてもいい時間なのに。


 「…何つぶやいてるんだ?」


 談話室から戻ってきたに聞いた。


 「…いや、母上から手紙が来たんだよ。夢見し時は今何処。今宵のときは何をすべきか。時を動かすものに目を向けて…って。」


 「…???」


 「ああ…母上は星見だから。予言を送ってきてくれたんだけど……少し意味が深い予言でね。僕が何をすべきなのか迷ってるのさ。」


 一瞬、は何を言っているんだ?っていう顔でを見た。

 それから自分のベッドに横になりながら言った。


 「…今自分が何をすべきか…なんて…本当に何か起こったときにはとっさに動くんじゃないのか?」


 「さあ。なんとなく気にかかるんだよ。」


 「へぇ……あ、そういえば、飛行訓練の話はもう聞いたか?」


 が無理に話を変えたように思えた。

 まあ、予言の言葉なんて、よくわからないからね。俺自身、がつぶやく言葉の意味がよくわからなかったりする。


 「…飛行訓練?」


 「ああ。木曜日から、グリフィンドールと合同で始まるんだそうだ。」


 「へぇ…」


 「なんなら、談話室のお知らせを見てくるといい。詳しく書いてあるし、聞かなくてもドラコが教えてくれるさ。」


 ふぅん…と、あまり関心がないようにが言っていた。

 そういえば…は箒で空を飛ぶことってあまりしないな。

 イリアは箒に乗るけれど、俺が空を飛べるから、俺に乗ってるものなぁ……






































 『落ちる…落ちる………散りゆく若葉。落ちる…落ちる……若葉が散りゆく…運命か、それとも空想か…』




 夢を見た。

 …夢というよりは、お告げといったほうがいいのだろう。

 若葉が一枚、暗い地の底の水溜りへと落ちていった。

 そして、言葉が聞こえた。

 ……運命か……それとも空想か……


 不吉な夢だった……



























 木曜日はざわめいた朝食になった。

 グリフィンドール寮のテーブルからはひっきりなしに、箒の乗り方について話している少女の声がしていた。

 スリザリンではドラコが箒に乗ってマグルのヘリコプターをかわしたという話をしていた。






 朝食後には、ふさふさな髪の毛のハーマイオニーがに話しかけてきた。

 …は、露骨にいやな顔をしたのだが。

 ニトも居心地が悪いと、俺の背でうなっていた。


 「……あなたは箒で空を飛んだことがあるのかしら?もしあるんだったらうまく乗れるコツを教えてほしいの!」


 ハーマイオニーの顔は必死だった。


 「そんな、必死にならなくたって大丈夫だよ、ハーマイオニー。今日始めて箒に乗る子だってたくさんいるんだから。」


 でも!っと必死な顔ですがりつくハーマイオニーが…笑えた。

 はむすっとしちゃってハーマイオニーのほうを見向きもしなかったけれど。


 「大丈夫だよ。そうやって心配しているより簡単なことだから。教科書を丸暗記するよりも簡単さ。」


 「……そうかしら……」


 の足がいらいらとしているのがよくわかった。

 俺はに擦り寄って、できる限りそのイライラを留めようとしたけれど…無理だった。

 次の瞬間、の襟をつかんでずるずると寮のほうに引きずっていった。


 「……?どうかした?」


 引きずられながら笑顔でそう聞く

 なんて無礼な人なの!って顔をしてをにらみつけるハーマイオニー……怖い

 じゃあね〜…、なんて、余裕でハーマイオニーに手を振る



 「…あんなやつとしゃべらなくていい。」


 「またまた…は本当に人見知りなんだから。」


 「そういうわけじゃない。」


 「…わかってるよ。でも、必死だったから…ハーマイオニーがさ。」


 くすくすと笑いながら、の手が緩んだのでは体勢を立て直した。

 それから俺の首筋をわさわさなでながら寮に戻っていった。

































 午後三時。正面玄関から校庭へと向かった。

 俺たちの後にグリフィンドール生がやってきた。

 俺との正面にはちょうどハリーがいた。二人の目が合うと同時に微笑んだ。

 (グリフィンドールと一緒の飛行訓練なんて、ついてたかもね。)

 はそうささやいた。







 そのうちマダム・フーチがやってきて、箒の傍に立て、とがみがみはやし立てた。

 の横にあった箒は古ぼけていたが、なかなか丈夫そうだった。

 一方ハリーの箒は、のと同じように古ぼけていたが、しっかりとしているわけではなさそうだった。

 小枝が何本かとんでもない方向に飛び出していて、安全とはいえないような気がした。

 気がついたのは…一年生が乗る箒は短い…ということだった。

 イリアはいつも自分の身長よりも長い箒で空を散歩する。

 でも、今下にある箒はそんなに長くもなさそうだった。




 「右手を箒の上に突き出して。」


 マダム・フーチのよく通る声が聞こえる。


 「そして、『あがれ』という。」


 一斉にあがれという叫びが聞こえた。

 う〜ん……うるさくてかなわない……


 「あがれ。」


 は気合の入らない声でそういった。(後で眠かったのだと話してくれた。)

 ハリーは飛びつくように箒が手に吸い付いたし、ドラコもも箒を手にしていた。

 一方で、の箒は……めり込んだ。

 地面に深くめり込んだ。


 ………

 ……………


 は驚いて箒を見つめていたが、もう一度、今度は笑顔で言った。


 「…なんであがらないの?」


 箒はの手に吸い付いた。

 …なんか、妙に震えているような………


 「ハリーって…飛行術の才能あるみたいだね。」


 小声でがつぶやくのが聞こえた。


 「さあ、私が笛を吹いたら、地面を強くけってください。箒はぐらつかないように押さえ、二メートルくらい浮上して、それから少し前かがみになってすぐに降りてきてください。」


 でも…笛を吹く前に飛び上がったやつがいた。


 そいつの箒は暴走して…………高く高く舞い上がった。













 の顔が真っ青なのに気づいたのは…きっと俺だけだっただろう。

 みんな、ネビルの箒が暴走して飛んでいくのに気をとられていた。


 も…ネビルを見つめていたけれど…真っ青な顔で、何か…迷っているようだった。
























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 …そっ、そのうちハリーたちともっと関わるさぁ…(爆)
 なんとなく今は…がグリフィンドール生を嫌ってるのもあるし……(汗)
 もう少し本編が詳しくなったら……大丈夫だ!(何が)








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