赤毛の女の子が声を掛けてきた。

 同じ学年ではなくて、一年生らしい。

 グリフィンドールのネクタイをしている……

 グリフィンドールの赤毛…言わずと知れた大家族、ウィーズリー家の子供。

 ……係わり合いになりたくない人種だ。


 ふいっと顔をそらした。

 の耳元でささやく。


 「先に行く。」


 「あ、うん、わかった。」


 の返事を聞いて、僕はクディッチ競技場に向かった。どうも、多寮の生徒は好きになれない。























 ウィーズリー家の子供だろう、赤毛のグリフィンドール生。

 新入生なのだろうか、今まで見たことのない人だ。


 「ええと…こんにちは、ジニー。」


 が笑顔で挨拶をする。ジニーと呼ばれた少女の顔が赤くなる。

 ドラコに呼ばれたクディッチの練習、見るの遅れるぞ?

 そう思ったけれど、は人を軽くあしらう冷たいやつじゃないってわかってる。わかってるから何も言わない。


 「私の名前、知っているの?」


 「ああ。」


 「うれしいわ!に名前を知っていてもらえるなんて。」


 少女の顔が真っ赤に染まる。

 が笑顔になる。

 純粋で、何でも信じ込んでしまうような少女だった。


 「あのねっ!私、とお友達になりたいの!」


 熱っぽくジニーは言った。友達になる?


 「僕と?」


 「ええ。」


 いいよ、そういってはジニーの手を握った。

 それだけでジニーは茹で上がったたこのように真っ赤になったのだ。


 「ああ…ええと…その……はね、お友達第2号なの。」


 「へぇ……」


 一番は誰だい?と、が聞く。

 新入生が入学して、もう一週間も経つというのに、友達が出来ていないというのはどういうことだろう。

 が友達第2号?

 つまり、2人しか友達がいないってことか?……そりゃ寂しいな…


 「トムよ。トム・リドルっていうの。とっても頭が良くて優しくて素敵な人なのよ。」


 ジニーの口からその名が出たとたん、の体が一瞬硬直した……

 俺にはなんだかわからなかった。


 「?どうしたの、ボーっとしちゃって……」


 ジニーの言葉にはっと我に返る。ホント、どうしたんだお前。


 「…なんでもないよ、ジニー。友達第1号になれなかったのが悔しいだけ…かな?」


 ジニーは可愛いからね…と、は無理に微笑んでいた。

 もっとも、その微笑みはジニーの目にはいつもの笑みに見えたのだろうが。


 「も素敵な人だって聞いてるの。うれしいわ。お友達になってくれて。ありがとう。」


 ジニーの満面の笑みには目を細くした。

 それは好意の証。


 「、どこかに行くはずだったんでしょ?ごめんなさい、じゃましちゃって…」


 「いいんだよ。それじゃあ、またね、ジニー。」


 ひらひらと手を振って、はクディッチ競技場へと足を向けた。

 後ろではジニーが、いつまでも手を振り続けていた。



 「……ジニーが…危ない。」


 がそういった。驚いてを見上げた。

 あんな…おとなしそうな、普通の子に何があるっていうんだ?


 「トム・リドル………今年もホグワーツは揺れる…僕はまた……」


 さっきと違っての表情が真剣になったから、俺はの言葉を聴いているだけにした。

 こういうときにどんな行動をとっても無駄なことは十分承知しているからだ。





















































 それから、無言でクディッチ競技場まで歩いた。

 競技場では、スリザリンの生徒が練習をしていて、文句を言いながら去っていくグリフィンドールの生徒が見えた。

 競技場の席にはがいた。


 「!」


 「…遅かったじゃないか。」


 「どうしたの?何かあったでしょ?気分悪そうだね。」


 「ああ。ドラコがその原因だな。」


 汚らわしい、とでも言うような口調でドラコの名前を出した。普段はそんなことは絶対にない。

 他寮生嫌いのだが、ドラコにはそこそこの好意を抱いていたはず。

 何があったのだろうか。


 「グリフィンドールのハーマイオニー・グレンジャーに、ドラコがなんていったと思う?」


 「なんていったの?」


 「『穢れた血』……高貴で賢い純血の、スリザリン生が口にするべき言葉じゃない。

 スリザリン生だけじゃない…ひどい言葉だ。」


 「………それで、グリフィンドールも黙っちゃいなかったろう?」


 が聞いた。がうなずいた。


 ドラコがその言葉を言った瞬間、グリフィンドールから悲鳴のような声が聞こえた。

 かなり気声を上げたやつもいたし、ドラコに飛びかかろうとしたやつもいた。それに、魔法をかけようとしたやつもいた。

 そういっていた。

 幸か不幸か、ドラコに魔法はかからず、魔法をかけようとしたロンに逆流してしまったらしい。

 ロンはハリーたちがハグリッドのところに連れて行ったという。


 「…まったく、今日はドラコに愛想が尽きた。普段から少し言葉遣いの荒いやつだとは思っていたが……」


 ぶつぶつとが文句を言う。


 「ドラコは…あとでみっちりしかればいいじゃないか。僕たちが。


 「ああ。」


 「ロンはハグリッドのところだっけ?僕、ハグリッドのお茶会に呼ばれてるから様子を見てくるよ。

 はまだここにいるのかい?」


 ああ、とがうなずいた。

 それじゃ、あとで寮で会おう、そういってはハグリッドのところに向かった。










 『穢れた血』

 普段、自分の寮の生徒に対しての批判なんてしないがした批判。

 この言葉はそれほどひどいものなのだろうか……?

 俺にはよくわからなかった。





















































 『穢れた血』

 マグル生まれの魔法使いや魔女を現す最低の言葉。

 ロンがナメクジの呪いの呪文に悩みながら語っていたとき、ハグリッドの小屋の扉を二回ノックする音が聞こえた。

 ロックハートかと思って、僕たちはナメクジを吐き続けているロンをハグリッドの巨体で隠しながら、扉を開けた。


 いたのは、だった。

 そういえば、もお茶会に招待していたんだっけ。


 「おお、お前さんか。入った入った。」


 ハグリッドが部屋に通した。

 もう一人分、糖蜜ヌガーを皿に入れていた。


 「やあ、ロン。大丈夫……ではないみたいだね。」


 が苦笑していた。

 どうやら、さっきの出来事を知っているらしい。


 「マルフォイって最悪なやつだろ…」


 うぇっと言ってロンの口からナメクジが飛び出した。

 のほうに向かっていったんだけど、笑顔でよけて、ナメクジはの後ろにいた、ファングに当たった。

 ナイスだ、


 「だけんど、お前さんの杖が逆噴射したのは帰ってよかったかもしれん。

 ルシウス・マルフォイが学校に乗り込んできおったかも知れんぞ。」


 少なくとも、お前さんは面倒に巻き込まれずにすんだっちゅうもんだ。

 ハグリッドはそういってたけど、ナメクジが次から次に口から出てくるだけでも十分面倒だと思うんだよな…僕。


 「そうだね。あの父親ならやりかねないね……」


 が苦笑していた。


 「でさえ、ドラコが最低だと言っていたな……ホグワーツでも言葉の勉強をさせるべきなのかもしれないね。」


 冗談なのだろうが、本当にそんなクラスがあればいいのに、と思ってしまった。

 ハーマイオニーは少しショックを受けているようだった。


 「ハーマイオニー、気にすることないさ。高貴な魔法使いが口にする言葉じゃない。君はドラコより優れた魔女さ。」


 パチッとがウィンクして、ハーマイオニーがほのかに顔を赤らめた。






 って時々不思議だ。

 急に現れては僕たちを励ましたり、何か教えてくれたりする。

 すごいなぁって思う。

 のほうが、僕よりもずっと頭が良くて優しくて……

 本当はのほうがみんなに注目されるような人なんじゃないかなって思うんだ。

 がサイン入りの写真を配ってても、なんら問題ないじゃないか。実力もあるわけだし…





 そんなことを考えながら、ハグリッドが育てている大きなかぼちゃを見せてもらっていた。








































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 ジニーと、ハリーたち。
 『穢れた血』、ちょっといやな言葉ですね。
 ハーマイオニー好きの管理人としてはショックでしたよ(爆)

































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