「…そうじゃな。今夜十一時。も森に行くとよいじゃろう。」



















































 ダンブルドアが許可をおろした。

 朝、この前ハリーたちが夜中に城をうろついた罰則の手紙がハリーたちに届いた。

 マルフォイも罰則を受けるらしくて、俺は少し愉快だった。

 でも、は複雑な顔。

 にも封筒が届いていた。

 それはイリアからのもの。

 中に何が書いてあるのか教えてくれなかったけれど、重要なことが書いてあるんだろうなと思った。





















































 「君も行くのかい?処罰を受ける必要のない君が?」


 は心底驚いた顔をしていた。


 「うん。」


 「校長は頭がどうかしたんじゃないか?」


 「さあ。とりあえず今日は十一時少し前に抜けるからさ。僕がいなくても気にしないで寝ててよ。」


 「ああ。そうするよ。」


 夕食が終わって部屋で二人でくつろいでいた。

 俺はニトを背に乗せてうとうとしていた。

 今日は遅くなるのだ。

 今寝ておかないと後で眠くなる。


 「…でも、は夜が弱いのに大丈夫なのか?」


 「…がんばるよ。たぶん好奇心のおかげで起きていられると思うし。」


 「………まあ、がんばってくれよ。」


















 夜の十一時少し前。

 大きなあくびをしたと一緒に寮を抜け出した。

 幸い玄関ホールにはまだ人影はなかった。


 フィルチに見つかったら大変だ、とは苦笑していた。

 それから外に出て、ハグリッドの小屋の戸をたたいた。



 「…か。ダンブルドア先生から理由は聞いてるが…お前さんは処罰を受ける必要がないだろう?」


 「好奇心が勝ったとでも言っておいたらいいかな、ハグリッド。夜中に外に出ることができるなんて、それも禁じられた森に入ることができるなんて滅多にないチャンスだからね。」


 屈託なくが笑った。

 ハグリッドは不思議な顔をしてを見つめていた。


 「お前さんがよくわからないね。」


 「よく言われます。でも、それでいいんじゃないかな。」


 クスクス笑うの声は綺麗だ。


 「まだ時間があるが…紅茶でも飲むか?」


 「…ん〜……」


 「ほれ。」


 「ありがとうございます。」


 ニコニコと。

 これから森に入っていくとは思えない笑顔。

 恐怖など感じていないのだろう、と、ハグリッドは思っただろう。


 は俺をわさわさなでて、紅茶を飲んでいた。





 そのうちハグリッドが石弓を持ち出した。ファングっていう黒い犬も従えた。

 そろそろ外に出るんだろう、とおもい、俺も扉の前で待った。



 扉を開けて外に出たけれど、人が来る気配はしなかった。


 「おかしいな。もう十一時を二十分も過ぎとる。」


 ハグリッドがいらだった表情で立っている。

 があの石を取り出して魔法をかけて宙に浮かせた。


 「おめえさん、なにしてんだ?」


 「ん?星のエネルギーを吸わせておこうと思ってね。こうやって石に星のエネルギーを蓄えると後で役に立つんですよ。」


 毎度のことながらその石のふわふわとした安定しない浮き方には、思わず飛び掛りたくなる。

 やろうとすると、笑顔で振り向くのでやめるのだが。


 「おめえさん、星見かね?」


 「星見の息子ですよ。イリア・の。」


 「…………」


 ハグリッドは心底驚いた顔でを見つめていた。


 「……イリア……


 「ん?」


 「イリアっていう名前には思い出がある。」
 

 「そう…」


 「まあ、昔の話だけどな。」


 「……」



















































 「もう時間だ。俺はもう三十分くらい待ったぞ。ハリー、ハーマイオニー、大丈夫か?」


 ハグリッドの独特のなまりある声が聞こえた。

 大きな石弓を持って、ファングを従えて、そして方に矢筒を背負っている。


 「僕は森に行かない。」


 マルフォイがそういった。

 恐怖におののいている声だ。

 いい気味だ。

 口先だけじゃないか。マルフォイは。


 「…ドラコ、森に行かないならホグワーツを退学になるだけだ。森に行ったほうが賢いと思うよ。僕も行くしね。」


 ハグリッドの後ろから透き通る声が聞こえた。


 一瞬、僕は自分の耳を疑った。

 僕だけじゃなくてみんなそうだとおもう。

 ここにいるはずのない人物の声がした。


 


 「や。」


 笑顔でハグリッドの後ろから出てきた。

 マルフォイが小走りにに駆け寄った。


 「、どうして君が?君も森にいくのかい?君は罰則を受けないはずじゃ……」


 「いろいろあるんだよ、ドラコ。行くなら早く行こう。行かないなら荷物をまとめてホグワーツを出て行く、それだけだしね。」


 笑顔でそういった。

 マルフォイの顔が引きつったのが暗いのにわかった。

 って時々黒いからなぁ…










 結局マルフォイもつれて森の中に入ることになった。

 傷ついたユニコーンを見つけるんだそうだ。

 マルフォイはのローブをつかんで離さなかったし、ネビルもおびえていた。

 でも、僕とハーマイオニーとがハグリッドと一緒についていくことになって、マルフォイとネビルはファングをつれて別の道に行った。

 マルフォイは泣きそうな目でを見ていて、ネビルは僕を見ていた。

 は、マルフォイに何か言葉をかけていた。


 それから二手に分かれて森を進んだ。



















 はハグリッドについて時々空を見上げながら、笑顔だった。


 「…火星がとても明るい……普段と違った…輝きが……これは……」


 ぶつぶつつぶやいている声が聞こえたけれど、そんな内容を聞き取っているほど僕は余裕がなかった。

 ただ、ハグリッドについていって罰則がすぐに終わることを祈るしかなかった。


 「そこにいるのは誰だ?姿を現せ……こっちには武器があるぞ。」


 ハグリッドが声を荒げたら、闇の中から不思議な動物が現れた。


 ケンタウルス…だと、がつぶやいていた。

 、君って何でもよく知っているんだね。


 「こんばんは。生徒さんだね?学校ではたくさん勉強しているかね?」


 「えーと……」


 「少しは。」


 ハーマイオニーがおずおず答えた。

 普段だったら勉強している、と、堂々といえるのだろうけど、今日は罰則でここに来ているからそんな風にしかいえなかったんだと思う。

 それからケンタウルスはと、のペットのに目をやった。


 「…綺麗な色をしているね。君の目も、君のトモダチの目も。」


 「ありがとう。」


 の笑みは月明かりで輝いてとても幻想的だった。


 「なあ、ロナンよ。君に会えてよかった。ユニコーンが、しかも怪我をしたやつがおるんだ……なんか見かけんかったか?」


 ロナンは瞬きもせず空を見つめ、少し経ってから返事を返した。

 首を振ってため息をつきながら。


 「…いつでも罪のないものが真っ先に犠牲になる。大昔からずっとそうだった。そして今もなお……」


 「ああ。だがロナン。何か見なかったか?いつもと違う何かを?」


 ハグリッドがもう一度聞いた。


 「今夜は火星が明るい。…いつもと違う明るさだ。」


 ハグリッドがいらいらしていた。

 ハーマイオニーは少しおびえていた。 


 「…俺が聞きたいのはもう少し自分に近いところのほうだが。」


 ハグリッドはあきらめたらしかった。

 これ以上何を聞いても無駄だと思ったのかもしれない。僕もそう思った。


 「…紅い目の少年…君ならこの意味がわかるね……」


 ケンタウルスの目がを見つめていた。

 はゆっくり首を縦に振った。


 「そうか。それはよかった。」


 それからロナンが言った。


 「…この少年と話がしたいんだ、ハグリッド。危険な目にはあわせない。ちゃんと君の元に送り届けよう。だから……」


 「ロナン、それは…」


 がさがさ、とまた音がした。


 闇の中からロナンよりも荒々しそうなケンタウルスが現れた。



















































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 ハリー視点(爆)
 次はいつもの調子で禁じられた森後編ですw





































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