クリスマスが過ぎて、ハリーの様子がおかしいということに気がついたのは俺だけじゃなかったみたいだった。

 ロンはそれとなく理由を書いた手紙を宛に送ってきたし、もハリーの様子がおかしいことに気がついていた。



 「…ハリーの様子がおかしい……」



 目がうつろで何を考えているのかわからない。

 食事もろくに食べなくなったようだ。チェスやハグリッドのことでさえも興味を持たなくなった。

 …と、が言っていた。

 なんとなくの水晶玉を見ていた俺は、その水晶玉の中に鏡とマントが浮かび上がるのを見た。


 「……そう…幻のとりこになっているんだね…」


 の意味ありげな言葉が聞こえた。


 「ダンブルドア校長はもう気づいているはずさ。僕がでしゃばる場面でもないと思うけれど……」


 の足は校長室に向かっていた。

 何か気になることがあるのだろう。







 校長室の扉は…激しく光っていた……

 魔法でちりばめられた星が何度も爆発してはその数を増やして瞬いていた。

 扉にはみょうちくりんな文字で『ノックすること』と、書いてあった。


 「…おかしいなぁ…前にマクゴガナル教授と一緒にここに来たときはこんな変な部屋じゃなかったのに……」


 首をかしげながらも、そのことに対して動じないはノックをして、扉を開けた。

 ……前は合言葉を言っていた気がするんだけど……

 そう思ったけれど、中に入れたので何も言わなかった。






 「…おや、どうかしたのかね、。君がわしのところに来るなんて珍しいの。」


 ふぉっふぉっふぉ…と、ひげの長い老人がひげを揺らしながらそういった。

 光るものを身に着けるのはこの人の趣味なのだろうか。黄金に輝く服を着ていた。目がちかちかする。



 「ハリーが……」


 「君の心配はハリーのことなのかね。まあ、座りなさい。」


 ふかふかのソファーに座ることを許された。なかなか居心地がいい。


 「先生、あなたはもう知っておられるのでしょう?ハリーが……」


 そこで一回、は言葉を切った。

 それから少し考えてからもう一度話し出した。


 「…幻にとらわれていることを。」



 「みぞの鏡のことかの?」


 「そうです。その鏡です。」


 「…はて、おぬしは一体その話をどこで聞いたのかの?」


 「……僕は星見の端くれです。」



 こほん、とせきをして、老人は立ち上がった。老人が入れてくれた紅茶は誰も手をつけていなかった。


 「わしも気になっていたところじゃて。今夜、鏡を移動させるよ……、君も手伝いなさい。今日の夜、みぞの鏡のある部屋に。」


 ……ちょっと待て。

 校長自ら生徒の校則違反を許すのか?!

 …変わってるなぁ。























































 はその日の夜に、鏡のある部屋まで肖像画の娘に案内してもらった。

 ハリーはまだ来ていなかったけれど、ダンブルドアはすでにそこにいた。









 そのうちに足音が聞こえた。

 姿は見えないけれど、確実に誰かがこの部屋に入り込んでいた。

 足音が止まったのは鏡の前だった。

 バサッという音がして何もなかった空間からハリーが現れた。

 うつろな目で、でも幸せそうに鏡の前に座り込んで鏡を見ている。



 「ハリー、また来たのかい?」



 ダンブルドアが声をかけた。その声は少し寂しげだった。


 「先生…………ぼ…僕、気がつきませんでした。」


 「透明になると、不思議に随分近眼になるんじゃのう。」


 ダンブルドアの声は笑っていたが、寂しげだった。


 「…みぞの鏡は……望みを見せるだけだ。幻を見せるだけ……ハリー、幻の虜になってはいけないよ。」


 の穏やかな声が寒いその教室に響いた。





 それからダンブルドアがハリーに鏡の意味を説明していた。

 …心の一番奥底にある一番強い望みを見せる鏡。



 「さ、ハリー。そのすばらしいマントを着て、ベッドに戻ってはいかがかな。」



 ハリーはマントを着て、姿を見えなくして俺たちの前から去っていった。



 ダンブルドアはハリーが見えなくなったのを確認してからに声をかけた。


 「心配事はなくなったかの?」


 「ええ。」


 は立ち上がって鏡を見た。

 そして、悲しげな表情を見せた。


 俺も鏡の前に立ってみたけれど、俺の目の前に見えたのは…とあいつとイリアが三人で微笑んでいる姿で、その三人の前に自分が座っているところだった。

 には一体何が見えたのだろうか。



 「…さぁて…どこかいい隠し場所はないものかの。またこの鏡の虜になってしまう生徒が出ないように。」



 「……あなたはもう…鏡を移す場所を考えていらっしゃるのに…」



 「…、おぬしには何が見えたんじゃ?」



 「……両親です。」



 「ほぉ…」



 「父と母が微笑んでいました。幸せそうに。僕もその間にいて…もいました。それだけです。」



 「……」



 「……父が僕に笑いかけました。」 



 「君は父上の顔を覚えておるかね?」



 「いいえ。」




 そうか…と、校長は言った。

 それからにご苦労様、といって甘いキャンディーをひとつ渡していた。レモンキャンディーだった。


 「…さ、お帰り。部屋でが心配しているじゃろう。」



 「先生……鏡を…」



 「ああ、わかっておるよ。」




 は深くダンブルドアにお辞儀をしてその場を後にした。






















































 「…近々…あの鏡にもう一回会うことになるよ。」

























































 そういわれたけれど、どうしてだか、理由は話してくれなかった。




















































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 妙にシリアスだわ(爆)
 は、お父さんの顔を見たことがないから会いたいんですよ。
 やっぱり家族は一緒にいたいんでしょうねw
 の願いが一緒なのは、それだけ二人が同じことを思っている証拠(爆)





















































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